毎月分配型投資信託のメリットとデメリット ~金融機関がすすめる商品の裏側 第2回~
2015/04/22
金融機関がおすすめしてくる商品の裏側を探るシリーズ、第2回は、「毎月分配型投資信託」です。
投資信託の中でも人気がある毎月分配型投資信託なのですが、すすめられるままに購入するのではなく、しっかりと基本的な仕組みを理解しておきましょう。
人気の理由は「安心感」
毎月分配型投資信託が人気がある理由は、なんといっても「毎月お金を受け取れること」です。やはり、元本が保証されているわけではない投資ですから、「着実に」お金が返ってくることへの安心感が大きいのでしょう。
最も人気が高い分配型投資信託のひとつに、「グロソブ」の愛称で知られるグローバル・ソブリン・オープンという投資信託があります。
これは、世界中の国債などに投資するタイプのものだったこともあり、債権投資という安心感も加わっていたのでしょう。
グロソブは今でも確実性の高い投資信託のひとつですが、全ての分配型投資信託が安心できて資産を殖やせるものかと言えばそうではありません。
そのふたつの理由を見ていきましょう。
「分配金=利益」ではない
まずひとつ目は、「利益が出ていると錯覚しやすい」ことです。
投資信託を購入している人でも、「分配金=利益」と誤解している人が多くいます。そのため、分配金が支払われたということは、利益が出ていると思い込んでしまっているのです。
実は、分配金には2種類あります。
ひとつは、利益から支払われる「普通分配金」。もうひとつは、元本を取り崩して支払う「特別分配金」です。
毎月分配型投資信託では毎月一定額が支払われますが、運用がうまくいっていない場合は、分配金の全額が特別分配金という場合もあります。
購入を検討している投資信託の分配金が、普通分配金で支払われている部分が大きいのかどうかをあらかじめ確認しておきたいところです。
複利効果が小さくなってしまう
もうひとつのデメリットが、「複利効果が小さくなってしまう」ことです。
資産運用は、資産は多ければ多いほど、成功したときの利益も大きくなります。
また、利益を再投資すると、さらに多くの利益を得ることができるようになっていきます。
ここで、例をもとに、どれくらいの差が出てくるのかを検証してみます。
100万円を投資しますが、ひとつは分配なし、もうひとつは毎月1万円の分配がある投資信託とします。仮に、毎月2%の運用益が出たとして、1年後に資産総額がいくらになっているかを計算しましょう。
(あくまで、複利効果の差を見るためなので、実際にここまでうまくいく投資信託は少ないですが)
分配なしでは1,268,241円、分配ありでは受け取った分配金も含めて1,254,121円です。
分配ありの方が14,120円少ない結果となっています。
次に、もう少しリアルな例で考えてみましょう。
(1)最初の6か月は、毎月0.5%の損失を出してしまった
(2)次の6か月は、損益ゼロで収まった
(3)最後の12か月は、毎月2%の利益を出すことができた
同じく、元本100万円で2年後の資産総額を計算しましょう。
2年後の資産総額の差は、45,363円になりました。
やはり、分配なしの方が利益が大きくなっています。
投資信託は資産を殖やすために買うもの
ここまで話をすると、「うまくいく場合の話しかしてないじゃないか。損が出た場合はどうなるんだ?」という疑問を持つ人もいるでしょう。
確かに、上の「最初の6か月間は0.5%の損失を出した」という期間についてみると、分配ありの方が資産総額が少なくなっています。
実際、損失についても複利効果があるので、分配なしの方が損も大きくなってしまいます。
けれども、「損をするために」投資信託を買う人はいるでしょうか?
投資の世界に「絶対」はありませんから、損をしてしまうことはあります。
だから、「利益が少なくてもいいから、損失額を抑える」という考えで毎月分配型投資信託を購入するのは、正しい選択です。
ただ、「損失を少なくするために」毎月分配型投資信託を購入するのは、本末転倒です。それならば、より確実に利益を出せそうな投資先を探すことの方が大切でしょう。
毎月分配型投資信託をすすめられた場合は、毎月お金を受け取ることができる安心感よりも、そもそも利益をあげられる投資信託なのかを自分の目でしっかりと吟味することが大切です。
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