上海に超高層ビルが完成!バブルが崩壊する「摩天楼のジンクス」とその対策
2015/04/30
先日、中国の上海で「上海中心大厦」が完成しました。その高さは632m。
634mある東京スカイツリーがオフィスビルになったと思えば、その凄さを実感できそうです。
人類の技術革新の力を垣間見る一方で、「摩天楼のジンクス」という言葉もあります。
これは「超高層建築物の建設計画が出たしばらく後に、バブル的な経済が崩壊する」というものです。
過去の摩天楼のジンクスは?
過去に摩天楼のジンクスとも言えるべき出来事は、大小さまざまですが、数多く起きています。
アメリカでは、「エンパイア・ステート・ビル」が建設されている1929年に世界大恐慌が起きました。また、第1次オイルショックが起きた1973年は、「ワールド・トレード・センター」が完成した年でもあります。
この2つは、どちらも世界経済の大きな転換点となった時期ですが、各国の経済レベルで見ると他にも例があります。
マレーシアで最も高い建築物である「ペトロナス・ツインタワー」は1998年に完成しましたが、それはアジア通貨危機のさなかで、同国にとっても非常に厳しい時代でもありました。
どうしてそんなジンクスができるのか?
摩天楼のジンクスは、ただの偶然ではありません。
だからと言って必然でもないのですが、超高層建築物の建設が景気減速のきっかけを作ってしまう一因となりうるのは確かです。
どうしてそうなってしまうのでしょうか。
その理由は、「需要と供給のバランスを一気に崩す可能性がある」からです。
ほとんどの会社にとってオフィスが必要です。そのため、経済が好調になってくると、不動産への需要が増加します。
多くの会社がよりよいオフィスを求めることで不動産の賃料が上昇し始めると、次に新しいオフィスビルの建設計画が出てきます。
すると、より魅力的な立地やステータスを提供して大きな利益を上げようと、豪華な高層ビルの建設が計画されます。
しかし、限られた土地でもフロア数を増やして有効活用しようとすることは、「一気に供給量が増える」ことを意味します。
オフィスビルの賃料が上がっていたけれども、数年後には供給量が増えるとなれば、今度は賃料が下がりはじめます。
このタイミングが超高層ビルの建設計画が出てから完成の頃になる傾向があるため、「摩天楼のジンクス」とも言われているのです。
今、懸念されている「摩天楼のジンクス」とその対策は?
現在、世界経済をけん引しているのは、間違いなく中国です。その中国で、数年前から摩天楼のジンクスになるのではと懸念されていたのが、冒頭に紹介した「上海中心大厦」です。
この記事を書いている2015年3月現在、中国で不動産バブルがはじけてはいないようです。ただ、経済指標を信用しきることができないことやシャドーバンキング問題など、安心できる状態とは言い切れません。
そして、実はもうひとつ、マレーシアでも数年前から心配されている計画があります。クアラルンプールで建設が予定されている「ワリサン・ムルデカ(KL118タワー)」です。
その名の通り118階建てのビルなのですが、ペトロナス・ツインタワーでの経験が記憶に残ることもあり、果たして供給を満たす需要があるのか疑問視している人もいるようです。
それでは、これらの計画がきっかけで、再び摩天楼のジンクスが起きる可能性はあるのでしょうか?
今のところ、経済が減速してはいません。しかし、未来のことなので、先々どうなるかは誰にもわかりません。
ただ、中国を中心として超高層オフィスビルの建設ラッシュが進んでいるので、オフィスビルの供給量が増え続けるのは間違いありません。
さらに心配なのは、需要家の取り込み競争も起きかねないということです。国内企業で満室にならない場合には、景気減速を恐れる政府や自治体関係者が入居するでしょう。それでも足りない場合は、政府などがサポートしながら、外資系企業の拠点誘致に走る可能性があります。そうなると、オフィスビルの入居者争奪戦が、アジアなどの地域規模に拡大する可能性もあります。
日本が経験した不動産バブルの崩壊を反面教師にして、各国は、景気の過熱と急減速を避けようとしています。しかし、その一方で、経済発展の誘惑に勝てないのも現実です。
いつか来るその日に備えて、投資を分散してリスクを回避することも大切でしょう。
不動産投資でも、利回りの上下が大きいオフィスビルの投資だけに偏らせるだけでなく、その変動幅が比較的小さい住宅用のものや他の資産にも投資することでリスクヘッジすることも大切でしょう。
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