ジュニアNISA活用で、相続対策しながら「若い感性」を！

2015/05/22

1. 投資・金融情報

前回、「熟練した投資家こそ『若い感性』を」というテーマの記事をお送りしました。
今回は、ジュニアNISAを活用することで、相続対策をしながら若い感性を磨くことができるというテーマでお送りします。

ジュニアNISAとは？

ジュニアNISAは、金融庁が平成26年8月に作成した「平成27年度税制改正要望項目」の中で登場しました。
成人NISAは平成26年からスタートした「少額投資非課税制度」ですが、これを未成年者にまで拡大しようというものです。
金額は少ないものの、利益に所得税がかからずに済むため、子供のうちから資産形成をするが可能になります。

制度概要は次の通りです。

年間投資上限が少なくなっていること、払い出しに制限があること以外は、成人NISAと同じ仕組みになっています。
この上限額は、贈与税の基礎控除額110万円を考慮して設定されたものであることは明らかです。
つまり、相続税対策にも使えるということですね。

なお、このジュニアNISA制度は今年1月に閣議決定され、平成28年から実施されることになりました。
ただし、1月より申し込みを受け付け、4月から投資することになっています。成人NISAが導入された時とは開始月が異なりますので、注意してください。

ジュニアNISA創設の目的は？

みなさんの周りにいる若い人たちの中で、NISA口座を開設している人はどれくらいいるでしょうか？

平成26年3月末時点では、NISA口座開設者の6割が60歳以上となっています。
また、預貯金以外の資産である金融資産を保有している世帯も、60歳代以上が6割を超えています。

この実情からも想像がつく通り、若年者層がNISA口座を開設して投資をしない理由は、「資金的余裕がない」というのが最も多くなっています。
この現状を打破するためのものが、ジュニアNISAの創設なのです。

高齢者層の預貯金等を若年者層にシフトし、若年者層の資産形成支援をすることが、日本経済の将来を支える上での重要な課題となっています。
ジュニアNISAは、その資金を投資に振り向けてもらうことで、長期的な資産形成を促すという狙いがあります。

ジュニアNISAの運用方法は？

さて、上でも書いた通り、ジュニアNISA口座の運用管理方法は、原則として「親権者等が代理して」行うことになります。
確かに、子供たちが、生き馬の目を抜く株式市場で資産形成できるはずもありません。
だから、親や祖父母である人たちが、彼らが大人になった時の資産形成をサポートしてあげなくてはなりません。

ただ、ここで忘れてはならないのは、「子供たちに、投資教育をする場でもある」ということです。
単にあなたが代理運用しているだけでは、子供たちが大人になったとき、一から勉強をしなくてはなりません。

ジュニアNISAでの運用を通して、あなたが子供たちに、投資の楽しさ、難しさなどを教えてあげられる貴重な場となります。
彼らが大人になる時代には、今よりももっと厳しい時代となることが予想されます。
定年まで無事に勤めあげれば、年金が生活をある程度守ってくれる時代は終わりました。
現役である間に老後の資金を自分で準備しなければなりませんが、そのために投資が欠かせない時代になっていくことでしょう。

そこでおすすめしたいのが、投資資金の一定割合は、子供に決めさせてあげることです。
もちろん失敗する可能性は高いですから、少額にしておきましょう。
けれども、例え損失を出してしまっても、子供たちが考えて運用したのであれば、その損失以上の何かを学ぶことができるはずです。

あなたは、子供たちが投資したいと思った銘柄について、あなたはその理由を聞いてあげてください。
「今、友達の間で流行っているゲームだから」、「ここのお店は、おしゃれで大好きだから」といった、子供らしい理由だと思います。
そして、それに対して、あなたの考えを伝えてください（考えを伝えるだけで、否定はしないようにしてください）。

これは若い人たちをトリコにするビジネスがどういったものかを知るチャンスでもあります。
きっと、あなたの投資行動にもいい影響があると思います。
これまでのあなたにはわからなかったビジネスモデルを理解するきっかけになり、投資先の選択肢が増える可能性もあります。

あなたの熟練した投資哲学を子供たちに与え、若い人たちが利用するヒット商品の秘密を受け取る。
ジュニアNISAは、こんな世代間の交流も体験できる、いいきっかけになるのではないでしょうか。

※この記事は、2015年4月時点で判明している情報を基に作成しています。
実施される際には、制度が変更になっている可能性もあります。
詳しくは、証券会社等にお問い合わせください。