ギリシャ問題は解決したのか?
2015/07/22
先月から世間を騒がせていたギリシャ問題。国民投票が終了し、その後は徐々に交渉も進んできているようです。これは「問題解決」と考えてもいいのでしょうか?
ギリシャ問題は「先送られた」
一時は株式市場も大混乱し、日経平均は19,000円台前半まで値を下げる場面がありました。しかしその後は持ち直し、7月21日の終値は20,800円台を回復しています。
しかし、市場は問題が解決したとみているのでしょうか。
現に、IMFへの債務返還や国債償還を実施してはいますが、その資金はEUからのつなぎ融資です。借金の借り換えでしかなく、自転車操業を続けている状況に変わりはありません。
また、8月20日に向けて、新たな金融支援についての合意を目指して交渉しているところでもあります。
この状況下で株式市場が息を吹き返しているということから、「問題が先送りされ、またその問題は世界経済に深刻な影響を与えるようなものではない」と市場が考えていると推測できます。
根本的な解決には程遠い
「世界経済への影響が軽微」と考えているのであれば、アメリカを除く世界的な金融緩和が進むなか、株価が上昇していくのではないかと考えられます。
しかし、どんどん上昇するというよりは、株価は神経質に変動しているようにも見えます。実際、さまざまなニュースに過敏に反応し、ボラティリティが高い相場が続いています。
その理由はやはり、ギリシャ問題の不透明感です。
現在行われている交渉も、あくまで「金融支援」についてです。金融支援についてまとまったとしても、次には「財政再建」という大きな課題が待ち受けています。財政再建が成功し、徐々にでも債務を返済していくことができる見通しが立ってこそ、解決に向けて進み始めたということができます。
今のところは、金融支援の方法を議論するしかありません。ただ、その交渉内容次第で、財政再建が進んでいく可能性があるかどうかが見えてくることでしょう。
世界が注目しているのは、ギリシャの陰に隠れた国々
さて、ここまではギリシャのことについて考えてきましたが、市場関係者が注視しているのは、EUの先の姿です。
今のギリシャ問題で忘れてしまっている人もいるかもしれませんが、しばらく前に起きたユーロ危機では、ギリシャに加えてイタリアやスペインが問題となっていました。
もしEUがギリシャにかなり甘い金融支援を行ってしまうと、イタリアやスペインにも同じような支援体制を敷かなくてはならないでしょう。そうなると、ドイツなどをはじめとする支援する側の国からの不満もさらに高まってしまいます。
かといって、あまりにも厳しい条件を突きつけてしまうと、多くの債務を抱える国が連鎖的にデフォルトを起こしてしまうかもしれません。これでは、多くの金融機関の経営にも大打撃となりかねず、世界的な経済危機となる可能性があります。
また、そこまでいかなくとも、緊縮財政に反発し、観光で潤うバルセロナを中心とするカタルーニャ州が独立しようとすれば、スペインの財政危機も一気に深刻化することでしょう。
ユーロ圏という一大経済圏を壊してしまうわけにはいかないが、一部の国の財政危機を放っておくこともできない。ECBは非常に難しいかじ取りをしなければなりません。
なんとかソフトランディングをさせたいのでしょうが、簡単にできることではありません。仮にうまく解決に導くことができるとしても、それなりの痛みは伴ってくることでしょう。つまり、よい状態が続いたとしても、今後も「小さな金融危機」が起きる可能性は十分にあるということです。
その影響を少なからず受けてしまう投資家としては、リスクの取り方、ポートフォリオの構成比率など、慎重に考えなければならない局面が続いています。
万が一のリスクも想定しながら投資行動を選択したいものですね。
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