仮想通貨は資産運用の対象となるか
2015/08/07
「ビットコイン」の事件をめぐり、一躍有名になった仮想通貨。その事件までは、一部の人達の間では「投資商品」として注目されていました。
事件を機に危険性も意識されるようになりました。そして今回、政府が仮想通貨の規制を検討する見通しとなりました。ただ、今後、仮想通貨は再び投資対象となるのでしょうか。
仮想通貨とはどんなものか
仮想通貨は、いわゆる「電子データ」です。その通貨のデータで「誰がいくら保有しているか」を明確にするようにしています。「通貨」と言うからには、モノやサービスを購入することができるのですが、いつでもどこでも使えるわけではなく、仮想通貨での取引を取り扱っている店や個人相手でしか使うことができません。
また、誰でも所有者となれるよう、ビットコインなどの一部の仮想通貨には「取引所」が設置されており、そこで株式取引のように売買することができるようになっています。
しかし、現在の日本では、仮想通貨は「おカネ」でも「金融商品」でもありません。ただの電子データのため、何の規制もありませんでした。
とはいえ、その存在感が増してきているため、利用者の保護やマネーロンダリングの温床となる可能性があることなどを理由に、規制の必要性が議論されてきました。
現に、ドイツやスイスではすでに規制対象となっており、アメリカなどもその流れに追随しています。日本でも、規制についての議論が前向きになされていくことでしょう。
現時点での仮想通貨は「投資不適格」
では、仮想通貨が「金融商品として投資する選択肢があるか」を考えてみましょう。
金融商品に投資するときには、安全性・流動性・収益性という3つの要素について考える必要があります。銀行預金であれば基本的に元本が保証されている(ペイオフによる例外あり)ため、安全性は高いと言えます。
また、すぐに現金として引き出すことが可能なため、流動性も高いです。ただ、預金金利は非常に低いため、収益性はほとんどありません。
仮想通貨の場合はどうでしょうか。
まず、安全性です。1通貨あたりの価格は、相場のように日々変化しています。そのため、元本保証ではありません。また、取引にあたってのルールがないという意味でも安全性は極端に低いです。取引量が少なく利用できる場面も少ないため、流動性も低い。その反面、取引量が少ないために相場のボラティリティが高くなっており、収益性は高い(ハイリスク・ハイリターン)と言えます。
これだけを見れば、商品先物取引と同じような特徴だと思う方もいるかもしれません。しかし、商品先物取引と仮想通貨の取引を同じように考えることはできません。仮想通貨の取引には規制がないため、「何でもあり」の世界だとも言えます。だから今回のような、預けているビットコインの消失などという問題が起きたのです。
つまり、現時点では、仮想通貨への投資はイカサマがまかり通る市場での投資のようなもの。投資対象としては「不適格」です。
今後の規制で投資対象としての魅力が増してくる
ただ、仮想通貨の存在感は今後も増してくると考えられます。だからこそ、政府は、仮想通貨での取引を容認し、規制をかける方向で進めようとしているのです。
規制は取引所の運営ルールから始まり、最終的には仮想通貨の取引によって発生した収入への課税まで及ぶことでしょう。仮想通貨への課税は利用者の反発が予想されますが、ここをクリアしないと一般に広く流通するところまではいかないでしょう。
仮想通貨での取引で得た収入には課税できないという「投機家にとってのメリット」は失われますが、その代わりに「安全性」が増してきます。
その結果、「投資対象」としての要件が満たされて、魅力が増してくるかもしれません。そうなれば、分散投資のひとつの選択肢として、仮想通貨が利用できそうです。遠い未来の話かもしれませんが、その動向には注目です。
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