短期的な投資では命取りになることも!為替政策を考える│海外投資のチェックポイント
2015/02/17
前回、海外投資をする上で、「人口ボーナス」がひとつの判断材料になるという話をしました。海外投資のチェックポイント第2回は、「為替政策」について考えてみたいと思います。
為替政策とは?
「為替政策」というとピンと来ないかもしれませんが、「為替介入」や「市場介入」という言葉なら聞いたことがあるのではないでしょうか。
変動相場制をとっているわが国では、自由な取引で為替相場が変動します。そのため、相場が一方的に変動しすぎることがあります。
そういった場合にのみ、市場介入を行います。
日本銀行が公表しているデータ(外国為替平衡操作の実施状況)によれば、最後に行われた市場介入は2011年の11月です。当時は1ドル=80円を突破し、輸出産業が大打撃を受けていた頃です。これ以上の円高を阻止しようと、米ドル買いの介入を行っていました。
このように、日本は市場介入をほとんど行わない為替政策ですが、世界に目を向けると、日本のような為替政策は極めて少数派です。
それでは、諸外国で行われている為替政策についてみていきましょう。
2種類の変動相場制
現在、変動相場制を採用している国は、3分の1程度しかありませんが、変動相場制は2種類に分けることができます。
ひとつは、自由変動相場制(フロート制)という、規制がなく、需給で相場が変動する制度です。
日本・アメリカ・ユーロといった多くの先進諸国・地域で採用されています。ただ、前述のように、行きすぎた為替変動に対しては、市場介入を行う場合もあります。
一方、新興国などは、自由変動相場制を採用していても積極的に市場介入を行い、自国通貨高が経済成長を阻害しないようにしています。身近なところでは韓国やフィリピンが、他にもブラジルなどが積極的な介入をしています。
もうひとつは、管理変動相場制(管理フロート制)です。
こちらは、中央銀行等が、為替相場の基準を定め、そこから一定の範囲内でのみ自由に取引できるとした制度です。
積極的な市場介入をする自由変動相場制よりも効果的に、通貨の変動をおさえることができます。驚異的な成長を続けている中国はこの制度をとっており、アメリカなどから批判を受けています。自国の経済力よりも通貨を安くしやすい制度です。
多くの国が行う為替政策「ペッグ制」
変動相場制をとっていない通貨は「ペッグ制」、つまり「固定相場制」をとっています。世界の半数を超える通貨が固定相場制による通貨制度となっています。
自国が発展途上である場合、政治や経済面で大きなトラブルが起きやすいため、変動相場制にすると、とてつもない為替変動に見舞われる可能性があります。そこで、世界的に信任がある米ドルやユーロといった通貨に自国の通貨を連動させて、為替の安定を図っています。
有名なところでは、香港ドルが米ドルに対してレートを固定させています。また、ユーロ加盟各国は、自国通貨をユーロにペッグしていることになります。
為替政策の変更に注意!
海外投資をする場合、投資しようとしている国の為替政策について調べておくようにしましょう。
違う相場制度へ移行する場合には、一気にレートが動く傾向にあります。
つい先日、スイスフランがユーロに対するペッグ制を解除したことで注目を浴びました。発表直後からスイスフランは急騰し、一時値がつかなくなる事態となりました。
また、日本が1ドル=308円の固定相場制から変動相場制に移行したときも、一気に1ドル=260円まで円高が進みました。
それだけではありません。
積極的な市場介入を行っている場合は、その通貨が大きく変動しそうな局面で介入が起きやすいでしょう。また、管理変動相場制をとっている場合は変動率の変更、ペッグ制をとっている場合は相場を固定する割合の変更や固定対象の通貨のレート変動などによっても、為替レートが大きく動きます。
このような為替政策の変更ですが、FXや一部の投資信託など、レバレッジを効かせた短期投資に向いた資産に投資している場合は、命取りになる場合もあります。
逆に、中長期投資をしている場合は、為替政策の変更を武器にすることもできます。中国の例を見てもわかる通り、経済成長に見合わないレートを是正するために為替政策を変更した場合、長期的にその国の通貨が高くなることを国が認めたと考えることもできます。
そのため、長い目で見ると、現地通貨での一括投資をすると、現地通貨高により円建てでの利回りが向上する可能性があります。一方で、毎月円を外貨に換えて積み立て購入するタイプの外貨建て投資信託の場合は、購入口数が減っていき、投資効率が悪くなっていく可能性があります。
中長期投資であれば、突然のニュースにも慌てる必要はありませんが、より効果的な投資タイミングを見つけられるよう、通貨政策にも注意してみてはいかがでしょうか。
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