日銀の追加緩和はいつまで続くのか?
2015/03/04
先日、日本に続き、ユーロ圏でも追加緩和が決定されました。
アメリカでは緩和が終了し、いつ金利を上げるのかという「出口戦略」が注目されています。
日本の追加緩和はいつまで続くのか?
今回はそんなお話をしたいと思います。
市場からも追加緩和期待が…
日本では、「春にさらなる追加緩和があるのではないか」という観測も出ているなど、市場からの緩和期待も根強いのが現実です。
アベノミクス以降、好調だった日本経済は、昨年の4月、消費税が5%から8%に引き上げられた瞬間に潮目が変わりました。
それまで、円安に支えられ、輸出企業の業績が急上昇。株価も堅調に推移していました。輸入価格の上昇で、消費者の負担が大きくなってはいたものの、円安のインパクトがそれを補って余りあるものだったからです。
ところが、消費税が上がって出費が増える上に、できるだけ価格を据え置いてきていた商品にも値上げの波が押し寄せます。
結果、一気に消費マインドの低下が進み、秋頃にはそれが経済指標として次々と現れました。
そこに原油安が加わり、インフレ目標の達成が絶望的になる中、10月に日銀は追加緩和を打ち出しました(選挙対策だとも言われていますが)。
ただ、金融緩和には消費マインドを上向かせる力はありません。
追加緩和⇒企業の設備投資増⇒企業の利益アップ⇒従業員への給与アップ⇒消費アップ
という順にお金が流れていくため、消費マインドに効果を与えるのは、早くても1年はかかってしまうでしょう。
日銀には金融政策以外の手段がないため、緩和と国債の買い入れでできるだけの努力はしているのでしょう。
秋以降は、円安進行もひと段落して消費マインドも冷え込んだままの中、株価も堅調とは言えません。日銀やGPIFによる買いに支えられていると言った方がいいでしょう。そこで、日銀がこの春にも追加緩和に踏み切るのではという観測も出てきたのです。
ただ、市場の感覚としては、「実体経済からの株価上昇よりも、目先の緩和で…」という意図が見えます。
実体経済を見据えた上では、追加緩和は必要なのでしょうか。
全員が「緩和が必要」と考えているわけではない
実は、2015年2月12日の夕方に、とても興味深い出来事がありました。
株式市場は取引を終えた後なのですが、日経平均先物と為替相場でのことです。
「追加の金融緩和は、効果がない。むしろ、逆効果なのでするべきではない」という、日銀関係者の発言が伝わりました。
日経平均先物は200円近く下げ、円相場はあっさりと120円を割り込み、一時は118円台に。
この値動きは、「さらなる追加緩和に期待できない」という思惑でしょう。
結局のところは、一部の投資家が「日銀の幹部や金融政策決定会合のメンバーの話」と勘違いしたところから始まった混乱だったようです。
そのため、翌日の日経平均は60円程度しか下げず、週明けには終値で18,000円を突破しました。しかし、為替相場の方はというと、2月17日現在でも118円まで円高が進行した状態です。
企業決算での想定為替レートから考えると、決算内容を悪くするほどのニュースではないので、株は下がらなかったのでしょう。一方、追加緩和に期待できないかもしれないと思わせるニュースは明らかに円高要因であるため、為替相場は円安には触れていないのでしょう。
「追加緩和は逆効果」という発言が金融政策に大きな影響を及ぼす状況ではなかったが、追加緩和に慎重な見方をしている職員がいることは確実と考えられているように思えます。
追加緩和決定に慎重になっていく可能性も
日銀の中で追加緩和に懐疑的な見方が出てくるということは、どういうことでしょうか。
ただ単に、「金融緩和の副作用」に注目した発言であればいいのですが、もしかすると「緩和の効果が薄いというデータ」が出ているのかもしれません。
確かに、金融緩和が家計の収入につながっていない状況で消費増税されたため、効果があまり出ていないかもしれません。
また、市場に不安感が醸成されてしまったということも否めません。
まだ追加緩和が実施される可能性は十分にありそうですが、時間とともに、安易な追加緩和がしにくい雰囲気になってくることも事実でしょう。
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