日本国内のタワーマンション高層階への投資は慎重に
2015/03/24
タワーマンションは、「高層階に住むのは勝ち組」と言われるなど、住むこと自体が一種のステータスとなっています。そこに目をつけ、分譲用だけでなく、投資用としても売り出されるタワーマンションが多く見られます。
不動産投資は堅実な投資であることは間違いありませんが、それは真剣に物件探しをした場合のこと。中でもタワーマンションは、特に慎重に考えるべき投資対象です。
タワーマンション投資のメリットは?
タワーマンションの、しかも高層階への投資は、「値下がりしにくい」ことや「相続税対策になる」ことなどがメリットだと言われています。
増えたといってもタワーマンションの数はそう多くはありません。不動産経済研究所の調査によると、2014年までの10年間で、20階以上の超高層マンションは、首都圏で500棟くらい建設されたようです。近畿圏では200棟程度とのことです。(※2014年3月末判明分。以下同じ)
高層階になるほど専有面積も大きく、部屋数が少なくなることもあり、供給よりも需要が勝っているため値下がりしにくいのです。その上、首都圏では東京オリンピックに向けて地価の高騰で資産価値の上昇も期待できると考えられています。
タワーマンションの高層階は、同じ面積でもかなり高額です。そのため、相続時に小規模宅地等の特例を適用すれば、時価よりもかなり安い評価額で計算することができ、相続税の節税になります。
同じマンションでは、土地や建物の平米あたりの評価額は変わりません。同じ広さの部屋で2階が3,000万円で30階が6,000万円だったとしても、相続税評価額は同じになります。そのため、同じマンションなら、より高層階に投資する方が資金効率がよくなると考えられます。
最後に、不動産なので、いずれ自分が居住することもできるということもメリットのひとつです。
疑問は、長期投資には向いているのかどうか
上記のようなメリットがある「超高層マンションの高層階投資」ですが、大したデメリットはないのでしょうか。
ここからは、あえてデメリットにスポットを当ててみましょう。
結論から言えば、超高層マンションの高層階への投資は、不動産投資の中でも「ややリスクが高い」と言えます。
その理由として、需給バランスが崩れる3つの要因があります。
ひとつ目は、「供給の増加」です。
ほぼ同じような便利さであれば、新しいタワーマンションの方が人気が出やすくなります。先ほどの不動産経済研究所の調査では、2015年以降、首都圏で140弱、近畿圏で30棟弱の建設が計画されています。
しかも、技術の向上で50階以上の超超高層マンションも多く計画されています。つまり、「すぐ近くにもっと高層のマンションがある40階建てのマンションの最上階」は、いくら高価であっても、「周りを見下ろすことができるステータス」という価値は目減りしてしまいます。
また、タワーマンションの高層階に住もうと考える人たちは、お金を持っています。不動産に限らず、より高いステータスを見つけると、あっさりと引っ越して行ってしまうかもしれません。
ふたつ目は、「タワーマンションに居住するリスク」です。
東日本大震災で、停電によりエレベーターが停止し、生活に支障を来たしたということは記憶に新しいところです。
つい先日、東京の都心部にあるタワーマンションで火災が発生し、住民が避難するという騒ぎがありました。タワーマンションは、中低層のマンションと比べて逃げ場が少ないため、比較的小さな災害でも一時避難が必要になります。使用する建材等は基準を満たしたもの以外使用してはならないと定められていますが、住民が持ち込む家具などには規制がないため、「火事が燃え広がりにくい」だけでしかありません。
しかも、火災が発生した20階は地上約60mで、消防車では届かない高さだったそうです。ちなみに、日本一の高さを誇る消防車「スーパージャイロラダー」は50m級です。
こういったリスクをどれだけ低減することができるかが、今後の課題でしょう。
最後のひとつは、「少子高齢化・人口減少問題」です。
人口が減ればマンションの需要が減る。これは当然です。また、高齢化がタワーマンションにとっての逆風になる可能性もあります。先に書いた居住リスクは、高齢者にとっては大問題です。いざというときにすばやく避難できる自信がなければ、タワーマンションの高層階には居住しないでしょう。また、サービス付高齢者住宅(サ高住)など、高齢者が快適に過ごすための住宅が急ピッチで整備されています。
数十年後には、高度成長期に整備されたニュータウンのように、空室が目立つマンションになっている可能性もあり得るのです。
このように、タワーマンションは、長期投資を前提とした不動産投資としてはややリスクがあります。とはいえ、希少価値のあるタワーマンションの高層階の人気があっという間になくなってしまうということは考えられません。
ただ、人気があるために割高になっているのですから、いつかは値下がりすることもあるでしょう。その場合、最も価値が下がってしまうのが高層階の部屋だということは意識しておいた方がいいかもしれません。
今の日本は、経済発展著しい東南アジア諸国や高度経済成長時代の日本などと違い、不動産投資のリスクの質が変わってきています。
「人口ボーナスあっての土地神話だったのだ」ということに気をつけて、人気物件にこそ慎重に投資したいものです。
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