実はアヤシイ投資勧誘かも?おかしな純金積立に注意!
2015/05/13
日経平均株価が堅調に推移しています。
今のところ、アベノミクスによる官制相場から、実態経済による成長が見込める業績相場の段階に入ってきていると言われています。
しかし、株価が堅調だからこそ、安心できる「有事の金」での投資を考えている人もいるかもしれません。そんな方にこそ伝えておきたい、ファイナンシャル・プランナーである筆者が聞いた、怪しげな純金積立のお話をしたいと思います。
まっとうな純金積立投資とは?
まず、普通の純金積立の仕組みからお話ししましょう。
純金積立は、地金商、商社、商品先物取引会社、金融機関など、いろいろな業種の会社が取り扱っています。よく知られているところでは、田中貴金属工業(地金商)、三菱マテリアル(商社)などがあります。
一般的な投資方法としては、ドルコスト平均法で買い付けを行います。
毎月積み立てる金額を決めておき、毎営業日にその金額で買える分だけ金を購入します。2015年3月20日の金価格が5,000円弱なので、毎月1万円ずつ積み立てるのだとすれば、1か月で2g程度購入することになります。
この方法では、金価格が安い時には多めに、逆に高い時には少なめに購入することになるため、長い目で見ると購入単価を比較的安く抑えられます。
少しずつ積み立てて購入した金を、価格が上昇したときに売却すれば利益を得ることができます。また、地金で受け取ることなども可能です。
このような純金投資ですが、積み立てている間、現物の金は業者に預けることになります。そのため、各業者はその管理方法などについて安心できるものであることを、ホームページや資料に明記しています。
積立のふりをした、おかしな金投資話
普通の純金積立投資について理解してもらったところで、本題である、おかしな金投資の勧誘に移りましょう。アヤシイ業者はほとんどの場合、電話で勧誘をし、こんなPRをしてきます。
業者(以下:業)「とてもおすすめの純金積立のご紹介です。株式相場は調子がいいですが、何かあった時のために、『有事の金』にも投資すると安心です」
客候補(以下:客)「コマーシャルでやってる、田中なんとかいうようなの?」
業「いいえ。それとはまったく異なる、お得な方法です。大手では一般的な相場価格、今でしたら5,000円くらいでしょうか。けれども、私どもだからできる独自のルートでずっとお安く購入いただけます。例えば、グラム4,000円で、それに手数料を購入金額の10%いただいております(※1)」
客「へぇ~。安く買えるに越したことはないからね」
業「はい!しかも、1キロの購入の場合、グラム4,000円であれば400万円ですが、それを毎月少しずつ入金していただいて、400万円全額入金が完了したら地金をお渡しします(※2)」
客「そうなの?でも、それだけの金をどうやって購入しておくの?」
業「おっしゃる通りです。弊社にて在庫がございますので、その在庫分に限りお得なプランを提供することが可能です。なお、初回入金は、手数料分と頭金として80万円となります。あとは、3万円ずつ10年間お支払いいただくことになります(※3)」
客「なるほど」
業「また、金価格が上昇した場合、残額を一括でお支払いいただけば、すぐに地金をお渡しすることも可能です。いつでも現金化できるので安心していただけますよ。(※4)今はご興味がなくても、パンフレットをお送りしますので、よろしければご覧ください」
客「じゃあ、とりあえず送っておいてくれるかな?」
アヤシイ金投資、その実態は
上記のような会話が繰り広げられましたが、※印をつけた業者の発言について、その実態はこうです。
※1
大手の価格は「今の相場」。業者の安い価格については、ただの「例え話」です。実際に購入する手前までいくと、4,500円くらいの価格を言ってくるのかもしれません。計算すれば、大手の相場価格と同じか高いくらいになるでしょう。
ちなみに、正規の業者では、500g以上であれば手数料がかからないところが多いです。なお、購入価格と売却価格に差がありますが、その差は数%程度です。
※2
ここでも、価格は例でしかありません。また、「毎月少しずつ入金」と言って、積立投資のような雰囲気を出そうとしています。
※3
「在庫分に限り」と言って、決断を急がせようとしています。
ここでは10年としていますが、業者によっては5年ものもあれば25年にも及ぶものもあります。
また、ローン購入でないと主張し、割賦販売法の規制を逃れようとしている場合もあります。
※4
いつでも現金化できるのは確かなのでしょうが、おそらく契約書のスミにとても小さな字で「解約手数料」について書かれているでしょう。それが数百万円に及ぶ場合もあります。実は、これが一番の収入源のようです。
他にも、地金の保管方法や、会社が破綻した場合の資産の保全方法も、甚だ疑問です。しつこく聞こうとしても、「安心して下さい!信用して下さい!」と答えるか、「(信用できそうな銀行っぽい名前の)○○グループのサポートを受けています」という真偽不明の返事か、電話を切って次のカモを探しに行くか、といったところでしょうか。
ところで、実はこの投資、法的には「問題なし」と判断されてしまうようです。
そのためこのような勧誘を行う業者がいくつもあるのですが、「将来トラブルになりやすい取引である」と国民生活センターが警告しています。
参考サイトhttp://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20121101_2.html
「おいしい話にはウラがある」という言葉の通り、そんないい話を知らない人が紹介してくれるはずがありません。
そういう業者は、名前をネットで検索すると、多くの場合「詐欺」や「架空」と警告するサイトが引っ掛かります。その場合は、絶対に取引をしないようにしましょう。
ただし、社名を変えたばかりだったり、開業間もない場合は、ネットに情報が出ていない可能性もあります。第三者の意見を聞いてみたり、国民生活センターに問い合わせてみるのもいいでしょう。
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