切っても切り離せなくなったマニラっ子と外国車の関係
日本では戦後復興からバブル景気に盛り上がる頃までを中心に、車を所有することがステータスのひとつとされていた。その象徴としてモーターショーも大々的に行われ、新車が飛ぶように売れた時期を記憶している日本人は、どのくらいいるだろうか。
マニラで高級外国車が人気
フィリピン・マニラでは現在、高級外国車やビンテージカーの人気が高まっている。週末を中心にベンツやBMWといった「ザ・外車」の販売店には多くのマニラっ子が憧れの1台を求めてやってくる。景気が活性化して増えた所得で車を買ってステータスを得たいという、かつて日本人が経験した気持ちをマニラの人たちは今、実現しようとしているのかもしれない。
自動車産業を通じたフィリピン政府の思惑
現在、フィリピン政府は、自動車産業の育成を通じて、フィリピン国内の製造業を発展させたいとしている。海外の自動車メーカーであっても、1つの自動車モデル当たりの年間生産台数がある一定以上を超えれば税制を優遇しようというものだ。
フィリピンの貿易産業省によると、2013年の新車販売台数(21万2400台)のうち、7割が輸入車を占めている。フィリピン政府としては、国内の自動車生産台数を増やすことで、輸入車の割合を縮小して貿易収支の改善に繋げつつ、数万人規模の新規雇用を目指したいのだ。
一方で、フィリピン政府のこの思惑は、世界各国の自動車メーカーの思惑と少し乖離が発生している。例えば、フィリピン政府は税制優遇対象となるような1つの自動車モデル当たりの年間生産台数を4万台に引き上げることを条件としたいところだが、日本の自動車メーカーでこの条件に当てはまるのはトヨタ自動車だけだ。もし、条件に合わないとしてトヨタ自動車と同じくフィリピンで自動車の生産を行っている三菱自動車が万一撤退するようなことがあると、フィリピンでは数千人単位での雇用が失われる危険性もあるのだ。
将来的にフィリピンが車に求めるものとは?
政府の施策面でも、国民の欲望面でも、フィリピンと高級外国車は切っても切り話すことができない関係になりつつある。フィリピンの好景気が更に続いた時、国や国民は車にどのような付加価値を求めるのだろうか。案外、日本と同じように、レストアニーズやカスタマイズニーズが増してくるのかもしれない。
2014/12/23
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