石油価格下落は「幸運な贈り物」か?
フィリピンの電気料金は、アジアの新興国の中で最も高く、日本の電気料金とほとんど価格は変わらない。 常夏の国、フィリピンでエアコンを多用すると、1カ月の電気料金はアッという間に3万円になってしまった日本の駐在員もいるという。
システムロス料金(盗電)が加算される電気代
石油価格が下落し、一部の公共交通機関の運賃が値下がりしているにもかかわらず、なぜ、電気料金が値下げされないのか?日本人であれば、疑問を持つだろう。
年末年始にかけて、フィリピンの街角のクリスマスの美しいイルミネーションの電気料金は莫大な料金ではないのか?と心配したら、実は、電飾の電気は電線から直結して供給されているため、電気代が請求されない仕組みだという。
そして、この電線直結作業のために感電死するフィリピン人が後を絶たないというのが、風物詩のようにニュースになっている。
つまり、請求されない電気料金(盗電された電気の費用)は「システムロス料」として、フィリピン人の各家庭の電気料金に上乗せされている。
日本における原子力発電所の事故による電気料金の値上げは、フィリピンの「システムロス料」のようなものだ。
ある家で電気のブレーカーが故障し停電になったら、隣の家も停電になり、調べてみたら、電線から電気を盗まれていたことがわかった。隣家に盗電をやめさせたら、電気料金は半額以下になったという笑い話もある。
電気料金が高いと電線から電気を盗む人々がいるため、システムロス料が加算され、電気料金が高くなるという悪循環に陥っている。
それでも、石油価格の低下は、多くのフィリピン人にとって、今のところクリスマス・プレゼントのような一時的な救済になっている。
石油の値崩れと今後の影響
世界の石油のコストは、昨年6月にバレル当たり115(米)ドルまで高くなったが、年末の12月時点では、バレルあたり60(米)ドルと、40%も下落。
石油の専門家によると、米国でシェールガス生産が豊富になったことで供給過剰となり、北米のエネルギー市場にシェールガスがなだれこんできた。この石油価格の急落の波及効果は管理されていないので、専門家はすでに1998年の金融崩壊よりも悪い危機を引き起こす可能性があることを警告している。
10年前、中国のような新興市場で急速な経済成長が起きたとき、石油価格の下落はなかった。ところが、今回は、北米の石油の供給量が非常に急速に伸びたことで、中東の産油国市場にショックを与え、石油価格が下落した。
今後の見通しとしては、石油価格はバレルあたり30~40(米)ドルで底を打つと見られている。
石油価格の下落の影響が最終的に、フィリピンにどのように影響するのだろうか?
もし、石油価格の下落が、海外フィリピン人労働者の雇用喪失につながるなら、海外労働者からフィリピンへの外貨送金に大きく依存してきた経済運営にどのような影響が出るのか? 現実問題として、国内の他の産業への影響も懸念されている。
産業の新た勝者を決め、敗者を決める業界再編を伴う「新しい石油時代」がフィリピンに訪れている。どのような開発が行われる時でも、フィリピンのような小さな市場では、最終的に、誰が金持ちになり、誰の息を止めるか?を決めることになるだろう。
2015/01/05
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